ホーム > 一目均衡表とは > 一目山人 原著 第一巻 まえがき その一

一目均衡表 第一巻 まえがき その一

 この均衡表は、私が都新聞社の商況部部長として勤務していました頃、相場変動の真髄を掴んで紙面をかざりたいと思い、 私設の研究所を造り、永年苦心の結果、昭和十年都新聞紙上に、「新東転換線」と称して発表したものでありますが、 当時の都新聞商況欄が、いかに充実したものであり、従って高評を博したものであったかは、今六十才以上の方なればともかく、 一般的には余りご存じないでありましょう。都新聞商況部の隆盛時代は昭和十五、六年まででありましたが、 戦時中都新聞が東京新聞と社名を変更しましたので、一層皆さんの記憶から遠ざかったことにもよるでありましょう。

 この均衡表の製作は、極めて簡単でありますので、その製作方法は極秘にしていたのでありますが、終戦後、 朝鮮動乱最中の昭和二十五年に、友人の切なる希望によりまして、三人だけに限って伝授致しました。その時、十年間は公開しないという約束の下に、 今から見れば莫大な謝礼を受取ったのでありますが、早くも二十年を経過しましたので、一応の了解を得ましたのみで、 この度び一般に公開することにしました。当時十回に亘った解説原稿を、この度び整理したものでありますが、 それだけに重複した点が非常に多いのであります。むろんそれを訂正することは極めて容易でありますし、事実余り極端な重複は整理致しましたが、 しかし、均衡表にしろスパンにしろ、余りに簡単なものでありますから、その時その時に応じて、ぜひ必要なことは、 幾ら重複しても書き流しておいた方が皆さんのご了解に便であると思いまして…。いうまでもなく、附図は全部新しいものでありますから、 その説明は全部新たに書き下したものでありますが、このたび公開に踏み切りましたのは、放送や新聞に発表のたびごとに、 殆んど全国的に問合せがありまして、それに一々お答えすることが容易でありませんし、折柄私もすでに古稀を過ぎまして、これほどのものを、 このまま筐底に眠らすべきではない。と考えたからであります。

   

>>>>>”続きはこちら”

昭和四十四年八月二十五日 一目山人著